【合格答案】第21回紛争解決手続代理業務試験(2025年特定社会保険労務士試験)再現答案。
第1問
小問(1)
XはY社に対して、
①雇用契約上の権利を有する地位の確認
②Y社のXに対する本件内定取消しが無効であることの確認
③令和7年9月1日以降、毎月10日限り、月額50万円を支払うこと
を求める。
小問(2)
①Y社からXに対して、令和7年7月4日付けで採用内定通知書が交付された。これはY社とXの間に解約権留保付き労働契約が成立したことを意味する。
②Xは酒席で前の会社を退職した理由について、採用面接時とは異なり、顧客とのトラブルがあったことを述べたが、これは唯一の退職理由ではなく採用面接で嘘を述べたわけではないため、採用内定通知書の採用内定取消事由(2)採用面接時に虚偽の発言があったことが判明したときにはあたらない。
③Xはしらふで問題発言をしたわけではなく、あくまで酒席で冗談を言ったに過ぎず、業務的にも顧客と酒席を共にするような職種ではなくPCと向き合うことがほとんどなため、採用内定通知書の採用内定取消事由(8)当社との信頼関係を損なう行為に及んだときにはあたらない。
④Xの酒席での言動を理由に、Y社がXの謝罪や弁明も聞き入れず内定を取り消したのは厳しく、手続きとして不備がある。
⑤②③より、Xは採用内定取消通知書の採用内定取消事由にあたる行為は行っていないため、本件内定取消は無効である。
小問(3)
①Xが酒席でBに対し横柄な態度を取ったり、他従業員に対し罵りや中小、ヘッドロックをかける真似を行ったりしたことは、採用内定通知書の採用内定取消事由(8)当社との信頼関係を損なう行為に及んだときにあたる。
②Xが酒席で前の会社を退職した理由について、面接時とは異なり客先とのトラブルが原因だったと言ったのは、採用内定通知書の採用内定取消事由(2)採用面接時に虚偽の発言があったことが判明したときにあたる。
③Xの酒席での問題行動については録画があるため、問題行動の存在そのものに争いはなく、本件内定取消には根拠がある。
④Xは謝罪と弁明の機会がほしいと言ったが、動画があるため事実は動かしがたく、弁明は意味をなさないし、Y社の就業規則上も内定取消しの際に弁明を聞かなければならないという規定はないため、対応する必要はない。
⑤Xの①②の言動は採用内定通知書の採用内定取消事由にあたることに加えて、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実にあたり、本件内定取消しは客観的に合理的と認められ、社会通念上相当としても認められる。
小問(4)
確かにXの酒席での言動は採用内定通知書の採用内定取消事由に該当し、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実に該当する。しかし、Xの問題発言はあくまで酒席の場での冗談に過ぎず、またXの採用面接時の虚偽の発言は経歴詐称等ではなく退職理由の一部を伝えなかったに過ぎず、これらを元に内定取消しを行うのは社会通念上相当とまでは言えない。したがって、本件内定取消しは無効になる見通しが高い。
小問(5)
本件内定取消しは無効になる可能性が高いため、Y社にはXを勤務させるよう強く訴える。しかし、Y社従業員たちはXと仕事ができないという意見で一致しており、このように信頼関係が崩れた状態でXが勤務をするのは難しさがあるし、XがY社で努めたい理由も転職活動が応募からやり直しになることや金銭面の不安からなので、Y社がXの勤務を強く拒む場合は、Xが転職活動に専念できるよう、3カ月分の月給程度の解決金により和解を目指す。
第2問
小問(1)
イ
甲はCから事件についての一切の協議を受けていないため、社労士法第22条の制限は受けない。しかし、甲がB組の顧問であるにも関わらず、もしもA工務店の依頼を受けると、本件事故におけるB組の落ち度を強調し求償額を増やすという利益相反が生じ得る。また、B組から本件事故を踏まえて受けた墜落制止用器具に関する相談の中で知り得た情報に守秘義務が課せられ、A工務店の利益を十分に実現し得ない可能性がある。したがって、甲は、A工務店の依頼を受任できない。
小問(2)
イ
乙は労務監査の中でEからパワハラについての申告を受けているが、これはあらかじめ全てをD社に報告することを明らかにして行ったヒアリングに過ぎず、個別労働関係紛争の事件についての協議ではないため、社労士法第22条の制限は受けない。また、D社に全てを報告しているので、D社への守秘義務はない。しかし、紛争調整委員会というD社以外の外部への守秘義務は引き続き守る必要があるため、落ち度のあるEの主張を争って、D社の利益を十分に追及することは難しい。したがって、乙は、D社の依頼を受任できない。
感想
結構メモ取ってたので再現度は高いと思います。
内容がどうとかより主語抜けが結構あるのでそこがちょっと心配。国語の試験だったら強めに減点でしょうね。
診断士の一年目で二次試験に落ちたとき、再現答案作ってなかったことがちょっと後悔だったので、来年の私へのプレゼントとして残しておきます。落ちたときは受かった人に添削してもらって、受かってたらそれはそれで誰かの役に立てば。
【2026年3月13日追記】
合格しておりましたので、上記合格答案となりました〜! いつかのどなたかのお役に立てば幸いです。
社労士事務所への転職を考えているあなたへ。
令和7年度社労士試験の本試験日が終わりましたね。受験された皆様はおつかれさまでした。しばらくは美味しいものをたらふく食べてゆっくりお休みください。
さて、私もそうだったのですが、本試験を終えたら転職活動を開始しようと思っている方も多いと思います。社労士事務所への転職を考えている方に向けて、社労士事務所の勤務社労士の私の体験談を書いてみます。
目次は以下です。
社労士事務所勤務の1日のタイムスケジュール
社労士事務所1年目(ただし2社目)の私の場合の1日のタイムスケジュールを「月初1日」と「給与計算ピークの1日」に分けてご紹介します。毎日タスク管理に使っている仕事用手帳を見て書いたので、たいへんリアルな仕上がりになっております。
月初1日
9:00 - 出社、メール・チャットチェック、公文書チェック
9:30 - A社入社手続き1名、退職手続き1名
B社退職手続き1名、高年齢手続き2名
C社入社手続き1名、退職手続き1名
11:30 - 今月の給与計算の段取り(顧問先入力用ファイル作成等)
12:30 - 昼食、お昼寝
13:30 - 勤怠・給与システムの設定
従業員をシステムへ招待
16:30 - 顧問先に頼まれたリストの作成
18:00 - 退勤
月初1日目は基本的に入退社の手続きばっかりしています。この日は午前中で終わっていますが、手続きが多い月だと午後もひたすら手続きしていたりします。もうちょっと私の段取りが良ければ、前月の内に手続きを一時保存で作っておいて、1日目は申請するだけ、にできるのですが、今のところはことごとく当日作って当日出しています。毎日その日やることだけに追われていますね……。
前職の事務所はほぼ協会けんぽだったのですが、今勤めている事務所は健保組合の顧問先も多いので手続きにひと手間かかりがちです。また、前職は手続きはパートさんが作ってくれて社員はチェックのみだったのですが、今の事務所は作って申請まで自分ひとりでやるのでちょっと緊張します。
なるべく月初1日は給与計算の段取りを確認しておくようにしています。(忙しいと2日目、3日目にずれ込みますが……。)祝日の関係でいつものスケジュール感覚だとタイトになる月もあるので、このタイミングで顧問先にスケジュールの相談を入れておけると後々スムーズです。
前職では給与計算の締め支払いがまんべんなくバラバラだったので、スケジュール管理がたいへんでした。今の事務所は締め支払いがまとまっているのでスケジュール管理はしやすいです。
給与計算ピークの1日
9:00 - 出社、メール・チャットチェック、公文書チェック
9:30 - A社給与計算
12:00 - 昼食、お昼寝
13:00 - B社給与チェック打合せ
14:00 - B社給与修正・納品
15:00 - C社36協定作成
D社賞与支払届作成
E社扶養異動届作成
F社取得時訂正作成
17:00 - G社給与計算
18:00 - 夜ごはん、お風呂
20:00 - G社給与計算続き
22:00 - 退勤
給与計算がピークのときは、基本的にずっと給与計算をやって、合間に手続きを片付けます。顧問先の規模感や計算手順によってかかる時間はそれぞれで、15分ぐらいで終わるところもあれば、1日がかりだなみたいなところもあります。今私が担当しているところは、2~3時間あれば終わるかなぐらいのところが多いです。
一般的には社労士事務所1年目だと手続きや給与計算がメインになると思うので、上記のようなスケジュールの繰り返しになるような気がします。
社労士事務所勤務は結構マルチタスクを求められる感じがします。担当顧問先別に手続きや給与計算が動いていくので、やることが錯綜します。ひとつひとつは5分~30分ぐらいで終わるものが多いのですが、忘れないように管理するのが結構たいへんですね。連絡来たらぱっと手帳に書き写すように癖づける必要があります。
1週間かかるような重いタスクがどーんと来るのではなく、軽めのタスクがどんどん来る感じですかね。重いタスクが来ることもあるのですが……。
ちなみに、今はリモート・フレックスの事務所で働いているので、お昼休みはベッドで昼寝していたり、中抜けして夜ごはんを食べてお風呂に入ってから残業したりしています。
社労士事務所は楽しい
Xで社労士界隈をフォローしている方だとお分かりだと思いますが、ブラック社労士事務所の話題には事欠きません。かくいう私も、前職の社労士事務所では正社員が4人の事務所で私1人残して3人全員同月中に辞めるというびっくり事態に追い込まれる等しました。
とはいえ、やっぱり社労士事務所で働きたいなと思って再度社労士事務所に転職をしました。社労士事務所ならではの楽しさもあると思います。
社労士を取ったら社労士事務所に勤務するかどこかの会社の人事労務をやるかで迷う方が多いのではないでしょうか。
私はやっぱりクライアントワークが好きなので、社労士事務所の方が合っている気がします。
つつがなく手続きや給与計算を終えて、報告をしたときに顧問先の担当者からチャットやメールでありがとうございます、と言ってもらえるとほっこりします。
今はなかなか幅広くお役に立つことは難しく、小さなことでも所内で確認を取りながら顧問先対応をしていますが、その内もう少し知識がつけばお答えできることも増えて介在価値を実感できるだろうな、と思えるお仕事です。
後、これは楽しいとは違いますが、クライアントワークだと思うと心が広くなるということもあります。
給与計算完了後に多少顧問先都合の修正が入っても、お客様だと思うと広い心で受け止められるのですが、私が人事労務をやっていたとしたらたぶん勤怠締めない従業員が居たら毎月真剣に苛々してしまうタイプだと思います。
人事労務になったら従業員もお客様だと思えるようになるのですかね? 思えるタイプの方が向いているんでしょうね。
転職が先か合格が先か
今年の試験の結果が思わしくなかった場合は、先に社労士事務所に転職して実務経験を積むか、合格してから転職活動を開始するか迷うかもしれません。
私は現職が勉強時間がしっかり取れる環境なら、急いで社労士事務所に転職しないでもいいと思います。
社労士事務所は試験直前期が繁忙期です。6、7月は、毎月こなすルーティンに年度更新と算定基礎が乗ってくるので、残業は必須になります。
私の場合、社労士事務所の1社目は繁忙月は80時間程度残業していて、2社目は45時間程度残業しています。私はロングスリーパーで体力もない方なので、受験期に社労士事務所勤務だったら合格は厳しかったように思います。8月になったら落ち着くように思わせて、6、7月に繁忙期だからと後回しにした何かしらに追われるので8月も上旬はそこそこ忙しくなりがちです。
試験休暇をもらえるようなホワイト事務所もあるかもしれませんが、未経験資格なしで最初からホワイト事務所に拾ってもらえるとはいったん思わない方が安全です……!
多少忙しくても勉強を継続できる心身が頑強な方というわけでなければ、急いで転職しなくてもいいのではないでしょうか。
実務をした方が知識が定着する説もそんなには期待できないです。実務はうろ覚えでも調べながらできてしまうので、かっちり細かいところを覚えていく試験勉強の方が暗記負荷が高く、実務が勉強にすごく役立つとは言い難いのではと思います。
もちろん実務をやってから理解が深まることはありますが、理解にかまけて覚えるのを怠ると選択・択一は解けないので……。
転職活動としても、未経験無資格だと不利だと思います。面接でキラリ光る自分を演出できないと、通常は他に経験者か有資格者が応募していればそちらが選ばれます。
面接が特別得意というわけではないのであれば、資格を取って履歴書でPRするのがいいと思います。志望理由も説得力が増します。
つらつら書きましたが、人によっては現職の方が余裕で忙しくて勉強できない可能性もあるので、それならちゃちゃっと転職してしまいましょう。
上位5%しか合格しない試験なので、勉強できる環境優先で考えた方がいいと思います。
今なら聞く社労士事務所面接逆質問
社労士事務所に2社勤める過程でたぶん15社ぐらいの社労士事務所の面接を受けたのですが、今振り返ると1回目の転職活動のときに聞いておいたらよかったなという質問が二つあります。
「給与計算、手続きに使っているシステムは何ですか」
これは勤務経験がないとわからないので聞かない質問だと思います。
聞いた方がいいなと思った理由は、世の中には紙で手続きしたりエクセルで給与計算したりしている社労士事務所もあるから。
前職の社労士事務所は入れ替わりが激しかったので次々入社される方から色んな社労士事務所の話を聞けたのですが、あるパートの方は入退社の手続き(もちろん離職票も!)を全て紙で手書きでやっていましたと仰ったり、ある中途社員の方は給与計算はすべてエクセルでやっていましたと仰ったり……。
エクセルで給与計算は正しく計算できているとしたらシステム使うより実力がつきそうな気もしなくもないですが、個人的にはさすがにもう少し文明の利器の力を使ってお仕事していきたいです。
ついでに年度更新と算定もシステムで申請しているかどうか聞いてもいいと思います。前職では年度更新を全て手書きで提出していて、現職は電子申請なのですが、思い返すと手書きはまあまあ地獄でした。前職の繁忙期では月曜日から土曜日までフルでお仕事した後、ダメ押しで日曜日に出勤して5時間ぶっ続けで労働保険料申告書を書き殴っていましたが、電子申請を知ってしまうとあの時間はなんだったんだ……と思いますね。
DX化が進んでいる事務所を選ぶのがおすすめです。
入社する前に少しでも調べておきたいので、と枕詞をつければ、未経験の方が聞いてもそんなに違和感のない質問だと思います。
「人員構成を教えてもらえますか?その方たちは今何年目ですか?」
これはリスクヘッジで聞いておけばよかったなという質問です。
社労士事務所は本当にびっくり離職率な事務所もあるのですが、そういう事務所は聞かれたらウッて言葉を濁してくれると思います。
前職で私以外の正社員が全員辞めた事件のあった直後の職場は「今いる正社員:1名」「その方は今何年目:半年目」という状態だったので、この事務所規模でそれはやばいな等判断しやすいはずです。人が定着しない事務所には人が定着しない理由があります。
ちょっと細かい質問するやつだなと思われるリスクはありそうですが、探られて痛い腹がなければまあ普通に答えてもらえる範囲の質問だと思います。
その他確認していたこと
その他、転職活動当時は「分業制か担当制か」「おいおいは労務相談、就業規則や助成金もやらせてくれるか」は確認していました。
理由ですが、まず、分業制は性格上ちょっと難しいです。毎日社保の手続きだけやっていて下さいと言われたら1か月持たない自信があります。
また、担当制であっても手続き・給与計算の補助のみのところだと、段々仕事を覚えてきてキャリアアップしたいなあとなったときに再度の転職活動一択になってしまうので避けていました。
ただ、担当制で何でもやらせてくれるところは担当制がゆえに何でも振られるという可能性もあるので(1社目は割とそうでした)、ゆっくりじっくりやりたい方は分業制のところを選んでキャリアアップしたいタイミングで転職を重ねるというやり方もあるのかなと思います。
後は、許容できる残業の範囲も面接でうまく伝えておくといいです。逆質問で残業は平均何時間ぐらいか聞くでもいいですし、残業ギャップが原因で退職した会社があれば包み隠さず実際の残業時間とギャップがあった旨を伝えておけば、それ以上残業させるつもりの事務所はちゃんと面接落としてくれると思います。私は繁忙期80時間ぐらいが限界なので、どこの面接でも月80時間残業してしんどかったです~みたいな話を入れていました。
退職理由はある程度素直に伝えておくと、似たような環境の事務所は面接の過程で落としてくれるので上手にマッチングできる可能性が高まります。どこまで素直に言うかは塩梅ですが。
おわりに
というわけで、社労士事務所への転職を考えている方向けの記事でした。
色んな事務所があると思うので、転職活動の際はスケジュールが許す限りはたくさん面接を受けて、どんな事務所かな~と覗いてみるのがいいかと。そのとき取り得る選択肢をできる限り全部土俵に乗せて吟味した上で選んだ事務所だったら、入社した後も頑張れますしね。
社労士事務所の面接対策どんな感じでしたか~って人が居れば、XでDMくれれば自分が転職活動していたときの面接対策共有しますので、仰ってください。
Xはこちら:https://x.com/fu_yu_cc
次は今年の特定社労士の受験が終わったら勉強記を書きます!
それではまた~。
『問題社員トラブル円満解決の実践的手法』感想。
もくじ抜き全398ページ、読みました。面白かったので感想を書きます。
概要
セクハラ・パワハラ・横領等を行う問題社員が居た場合に、いかにしてリスクの高い解雇を避けて、退職勧奨を成功させるか、という内容の本です。
大阪の咲くやこの花法律事務所代表の西川先生が書いています。Youtubeもされていらっしゃる先生で、退職勧奨等のテーマでコンテンツ配信もされていらっしゃいます。本の購入を検討されている方は先にYoutubeのコンテンツを確認してもいいかもしれません。
章立てとしては、「なぜ解雇がダメなのか」を示した後、退職勧奨の基本の流れを解説しています。その後、能力不足の場合、パワハラの場合、横領の場合等、7つの類型を挙げて、実際の退職勧奨のフローを書いています。その他、非正規社員の場合の対応、労働組合対応等について触れ、最後にトラブルが起きる前に会社がしておくべく事前整備を教えてくれます。指導書や弁明書の例等の資料集もついています。
感想
印象に残ったことを感想にします。
まず、解雇のリスクについて。
日本の場合は解雇は簡単にできない、解雇はリスクが高い、という何となくのイメージは元々持っていましたが、では実際に解雇を行ったとしてどれだけ困ったことになるのか、というのは理解できていませんでした。本書ではそこを最初に解説してくれます。
結論、余程準備をして解雇をしたとしても訴訟になれば負けるときは負けるし、負けたら1~2年お金も手間も取られて訴訟対応をしたというのに何百万取られた挙句問題社員の復職を命じられるということで、たいへんリスクが高いんだなあと思いました。復職を命じられるというのがつらいですね。
私は社労士事務所に勤めてまだ一年ぐらいしか経ってないですが、解雇の相談はちょいちょいあるなあという印象です。あるけど、相談段階ではとてもじゃないけど訴訟された場合の準備ができている状態ではないことがほとんどなので……そのまま解雇してしまうとまずいですよね。
また、懲戒処分について。
本書では、懲戒のプロセスを適切に踏むことの重要性が語られています。ですが、懲戒についての相談って少ないんですよね。結構ヒートアップして「もう解雇したい!」まで来てからようやく相談を受けることが多いイメージです。そこまで来てから今までの来歴を切々と語られて問題社員の存在を知る、みたいな。
問題社員……かも? ぐらいの段階で相談してもらえると動き方が変わりますね。早期に何でも相談してもらえる関係性が大事だなあと思いました。
最後に、労働者の保護について。
本書のあとがきで、弁護士がこういったテーマで解説することについて、批判的な意見もあり、従業員の立場の人から辛辣なコメントをいただくこともあったと記載があります。
ですが、本書で挙げられているのは、読めばわかりますが基本的に「解雇になっても仕方ないでしょ……」レベルの事案ばかりです。私はどちらかというとこのレベルの問題行動でも、解雇して訴訟になったら負けることがあるのかと衝撃を受けました。労働者めちゃくちゃ保護されています。従業員目線でタイトルだけ見ると「問題社員ってなんやねん(# ゚Д゚)」となるかもしれませんが、大丈夫です、解雇なるほどの案件ばっかりです。
他の真面目に働いている社員を保護するためにも、問題社員トラブルの解決は企業が主体的に取り組むべきだなあと思います。
最近社労士関連の本をたくさん買ったので、また読み終わったら順次感想を書いていきます。
OSAKA社労士FESTAの感想。
先週の土曜日はOSAKA社労士FESTAに参加してきました。
OSAKA社労士FESTAとは、社労士と社労士を目指す人達が参加できるイベントです。会員社労士だけでなく社労士を目指す人達も含めて広く参加を呼び掛けるイベントはめずらしいらしいです。社労士の今と未来を考えるセミナーや、社労士に役立つデジタルツールフェアや、ルポ等が開催されました。
私は来年開業するか社労士事務所に勤務するか悩んでいるので、進路を決めるヒントになるようなことがないかな~と思ってイベントに参加しました。
結果、仕事に役立ちそうな内容の濃い~セミナーを受けられたのと、興味のあったデジタルツールのパンフレットを山ほど持って帰れたのでよかったです。
OSAKA社労士FESTAの概要
2024年11月9日(土) 10時~17時 @大阪天満橋のOMMビルで開催されました。
ちなみにここ、私の現職場とまあまあ近く、ほぼ通勤ルートを通って参加することになりました。
4つの講演会と6つのセミナー、シンポジウム、デジタル化推進フェア、常設展示と盛りだくさんのメニューでしたが、私が参加したのは以下です。
講演会「大きな環境変化で増加する社労士へのニーズと役割」大津先生
講演会「AI時代になくなる社労士の仕事と増える仕事」高﨑先生
セミナー「社労士EXPOチーム」
デジタル化推進フェア
一つずつ感想を書いていきます。
講演会「大きな環境変化で増加する社労士へのニーズと役割」大津先生
AIを代表する科学技術の進歩によって従来の仕事はなくなっていくと言われていますが、そんな中で社労士の仕事はどうなっていくのか、という内容のセミナーでした。
結論、社労士の仕事はもちろんなくならないし社会環境の変化は社労士として追い風だ! ということで、内容の大半は社労士として追い風に乗っていくために知っておくべきたくさんの知識について触れて頂きました。
少子高齢化によって人材不足が進む世の中ではヒト・モノ・カネ・情報という4つの経営資源の内、ヒトの重要性が高まってきます。その中で、ヒトを取り扱う社労士の役割はより重要度が高まっていきます。
たとえば賃上げ一つ取っても、どう上げればいいかわからない企業はたくさんあるので、コンサルティング需要は高まっています。また、度重なる法改正も、ややこしくてたまったものではありませんが、社労士にとっては飯の種です。
その一つ一つを勉強して専門性を磨けば、引っ張りだこの社労士になれるはずです。
スライドは配布ありで全49ページでしたが、100ページぐらいありそうな内容がぎゅっと凝縮された濃い講演でした。
講演会「AI時代になくなる社労士の仕事と増える仕事」高﨑先生
こちらもテーマは似ているのですが、ILO(国際労働機関)という、国際労働基準の制定を通して世界の労働者の労働条件と生活水準の改善を目的とする、国際連合の専門機関の中日代表の高﨑先生の講演だったので、ILOの歴史と世界情勢と外国人労働者を取り巻く労働課題を中心とした内容でした。
社労士業務の中でもいわゆる手続き業務は今後なくなっていくので、相談・指導業務を拡大させていきましょうということで、では相談・指導業務を通してどういう方向へ企業を導いていけばいいのか、というお話です。
ビジネスと人権が対抗し合っていた時代から、ESG経営を求める投資家の影響等によりビジネスと人権が共存し合う時代に変わってきています。企業の人権尊重行動が企業収益につながる時代が来ているので、社労士は人権課題を取り扱い、それによって顧問先の企業利益に貢献できるということです。
中でも外国人労働者を取り巻く労働課題は放っておけません。人手不足が進む日本にとって、外国人労働者に選ばれる日本であることは重要事項です。国際的な人権基準に適合し事業を行うことは部分的に外国人労働者受け入れに向けた要件にもなり得ます。
そこで、ILOの技術協力によるカリキュラムを修了したビジネスと人権推進社労士(BHR社労士)を養成しています。今年度末までは費用負担なしで養成研修を受けられるので、是非にということでした。
立場が変わると見え方も変わるんだな~と感じられた講演会でした。BHR社労士、気になる。
セミナー「社労士EXPOチーム」
なんと大阪社労士会で2025年大阪・関西万博に参加するそうです。
「子どもの未来のために(Expo特別企画)」「健康経営」「ビジネスと人権」の3本立ての企画で参加するとのことです。
「子どもの未来のために」企画については、骨子ができていて、セミナーでがっつりプレゼンがあったのですが、HPにはまだ何も記載されていないようですね。割愛。
「ビジネスと人権」の部では人権デューデリジェンスのさわりについてワークショップを通して楽しく学ぶことができました。人権デューデリジェンスについては興味がわいたのでもう少し詳しく学んでみたいです。
デジタル化推進フェア
こちらは勤怠システムや手続きシステム、就業規則システム等いろんなシステム会社が寄り合っての展示会となっておりました。こぢんまりした会場の中にたくさんの会社がひしめきあっていて、さすが社労士FESTAだけあって集客効果はばっちり、完全に商談会会場と化していたので、そーっと気になる企業のパンフレットを頂きまくって帰ってきました。
なかなか自分の勤務先で使ってるシステム以外は知る機会がないので、良い機会だと思ってパンフレットを読み込みたいです。
終わり
そんなわけで、盛りだくさんのイベントでした。
専門的な内容も含みつつ、社労士未登録のひよこでも楽しめましたし、隔年とかでもいいのでまた開催してほしいものです。
給与計算検定について。
11/24(日)に給与計算検定試験があります。私は今回1級試験を受験予定で、勉強も概ね最低限のところは終わったので、給与計算検定試験の内容をまとめてみます。
給与計算検定について
給与計算検定は一般社団法人実務能力開発支援協会が主催している検定で、給与計算のスキルと知識を問います。現在1級~3級まであります。
給与計算ってただの従業員だった頃は全然ぴんと来てませんでしたが、実際に自分がやるとなるとややこしいんですよね。健康保険・介護保険・厚生年金保険・雇用保険・住民税・所得税等諸々、引き方が異なるものをそれぞれ正しく計算して正しく引き去らなければなりません。
実務では給与計算システムがある程度自動計算してくれますが、そもそもがどういう仕組みなのか理解していないとシステムを正しく設定できないので、正しい給与計算ができません。正しい給与計算ができないと、従業員に不利益です。会社としても、労基が入って未払い残業代を後から支払わないといけなくなったりだとか、年金調査で社会保険料が誤っている期間について遡って支払わないといけなくなったりだとか、予期せぬお金の動きが生じる可能性があります。
給与計算検定では、システムの動きをある程度理解するための下地として、給与計算の基本を学ぶことができます。正直1級まで勉強しても基本的な計算しかやらない(変形労働制の計算とかはやらない)ので、実務で使えるかは会社によりますが、とりあえずここを知ってないと話にならないという部分は一通り押さえられると思います。
給与計算検定1級・2級について
給与計算検定は社労士を取った後に受けたいな~と思って1級と2級のテキスト同時に買いました。ちなみにその当時は3級がなかったので、3級に関しては勉強したことがないです。
1級・2級については範囲が6割ぐらいは被っています。強いて違いと言えば、2級については給与計算の控除項目を一つ一つ丁寧に説明してくれていることに加え、給与計算担当者が知っておくと役立つ法律について掲載してあります。1級に関しては、年末調整が範囲に含まれるのが大きな特徴です。2級では年末調整は勉強しません。
2級は計算問題に有給付与の基準になる出勤率の算定や減給の制裁の限度額が出るようですが、1級の計算問題は年末調整の割合が大きいのであまりそういった細かいところは出ないようです。
どちらも肝心の勤怠集計~給与計算の部分は一日8時間、一週40時間の基本的な事業所における計算しかやりません。個人的には1級では変形労働制の計算方法等を出してほしかったです。実務で身に着けるしかないのか……。
給与計算検定1級の勉強時間について
現状、テキストの読み×2回、計算問題の解き×3回で14時間23分勉強しました。この3連休でテキスト・計算問題ともに1周できて間違えたところを覚えているので、明日本番受けたい気分です。
社労士事務所に勤めていて普段給与計算をやっているのですが、同じく実務やっているよ~って人なら15時間もあれば十分なのではないでしょうか。コスパがいい資格だなと思います。
給与計算検定はおすすめか
正直、おすすめな資格かと言われると微妙です。私はこの12月で仕事を辞めることが決まっており、実務経験1年しか積んでいないのに退職するということもあって給与計算できるよアピールの一助になればと思い受験を決意しましたが……。
業務委託で給与計算の仕事を受注したいのですが、実務経験1年は弱いかなと思いまして。
受験費用が10,000円なのはいいのですが、この資格認定登録制度になっていて、合格を履歴書に書くために2年更新で3,000円いるんですよね。勉強時間15時間分しかボリュームないのに、解せぬ。そもそも資格じゃなくて検定なのに履歴書に書くには登録してないとダメってありなんですかね?
というわけで、目的と費用感を天秤にかけて受験する必要がある資格だなあと思います。知識が必要なだけならテキストで勉強するだけっていうのもありですね。
というわけで、11/24(日)の検定頑張ってきます! 絶対合格したいので、計算問題を後1~2週は解いてチャレンジしてきます!
育児・介護休業制度の2025年施行の改正について。
育児休業延長時の添付書類の改正
育児休業給付金の延長申請の際、今までは原則保育園の保留通知書だけで大丈夫でしたが、添付書類が2つ増えます。
・延長事由認定報告書
・保育園へ入所申し込みを行った際の申込書の写し
延長事由認定報告書は、厚生労働省のHPからフォーマットをダウンロードできます。内容については、保留通知書と申込書の写しだけでは読み取れないことも含まれていますので、育休を取得する本人に書いてもらうか申請担当者が簡単にヒアリングする必要がありそうです。手間が増えますね……。
申込書の写しは、本人が控えを取るのを忘れていた場合や紛失した場合、再発行できるのか、どういう手順でできてどれぐらい時間がかかるのかが気になります。今できることとしては事前周知をきちんとして、申込書を控えを確実に共有してもらえるようにするだけです。
育児・介護休業制度の改正ポイント
↑厚生労働省の特設サイトです。
リーフレットはこちら。両方目を通しましたがリーフレットの方が過不足なくてわかりやすいですかね。
こちらは対応準備としてとりあえずは2025年4月までに就業規則を改定することになるかと思います。厚生労働省の規定の策定例はこちら。
情報を置く場所をひとまとめにしてくれるとありがたいのですが、特設サイトは特設サイト、リーフレットはリーフレット、規定は規定と全部場所が違うのです。人事担当者のネットサーフィン力が問われますね。
改正内容については賛否あるかもしれませんが、個人的には少子化の社会ですから子育てはしやすくなればなるほど良いと思います。現場は苦労が増えますが痛みを分け合って制度をうまく回していけるといいですね。
現場も負担が増えるばかりだけじゃなく、育児・介護休業取得に協力すれば利用できる両立支援等助成金があります。
積極的に申請していきましょう。
なお、申請するためには就業規則等の整備は必要になってきます。改正に伴い来年は内容も変わると思いますので、動向に注意ですね。
開業準備の準備。
年末に現職(社労士事務所)の退職が決まり、次の道は開業か就職かで悩んでいます。どうせ悩むなら有意義に悩もうということで、土日を使っていったん開業の方向でできる準備を進めています。
就職する場合は次も社労士事務所なので、準備するなら履歴書と職務経歴書ぐらいです。就職した後の業務のイメージも沸きます。一方、開業するとなれば必要な準備はたくさんあります。就職に比べると開業はその後のイメージがつきにくいです。いったん準備してみながら、将来について深くイメージをしてみるのもいいかと思い、そうしています。
開業チェックリスト
試しに開業までのチェックリストを作ってみました。
基本
□屋号を決める
□資金計画を立てる
□営業計画を立てる
□サービスメニュー・料金表を決める
□事業計画書を作成する
□請求書、契約書等のテンプレートを作る
お仕事できる環境づくり
□シェアオフィスの契約
□仕事用スマホの契約
□仕事用メールアドレスの確保
□口座、クレジットカードの契約
□ハンコ作成
営業ツール作成
□HP作成
□名刺作成
□チラシ作成
お金のこと
□口座、クレジットカードの契約
□インボイス登録
□会計ソフトの契約
□融資の申し込み
手続き
□開業社労士登録をする
□開業届を出す
□青色申告承認申請書出す
□失業手当受給期間延長手続き
資金計画
今は資金計画とサービスメニュー・料金表の作成をしています。
資金契約についてはまず支出面をざっと書き出しましたが、初年度で余裕で100万円が飛ぶので慄いています。社労士登録費用からかかりますからね。二年目からは固定費で60万程度になりそうです。なお交際費を入れていません。交際費がなんやかんやで一番かかりそうで怖い……。
初年度
・社労士登録費用 294,000円
・弥生給与 88,000円
・シェアオフィス 240,000円
・仕事用スマホ 110,000円
・HP作成 300,000円
・名刺作成 3,000円
・チラシ作成 30,000円
・参考書籍予算 150,000円
合計:1,215,000円
2年目以降
・社労士会費 84,000円
・弥生給与 88,000円
・シェアオフィス 240,000円
・仕事用スマホ 39,600円
・名刺作成 3,000円
・チラシ作成 30,000円
・参考書籍予算 150,000円
合計:634,600円
サービスメニュー・料金表
こちらはまだ構想中なので掲載は差し控えますが、妄想の顧問料を考えるの等は楽しいです。一方、スポット業務は料金を決めるのが難しいですね。何が顧問料に含まれて何が含まれないのか考えるのも難しいです。
退職前にできる準備は「基本」の部分なので、すべて終わらせた状態で年末を迎えたいです。
